やぐらが組まれている大正時代の建築物。方位は南に向かっており、何年も経った後も木はしっかり石に支えられて、腐りもせず建物を支えています。

しかしながら、この建物の裏側に回ると、生々しい「物理的作用」のせいで惨状が広がっています。

多分去年の台風あたりで倒れた樹木がひさしをへし折り、屋根どころか建物を沈ませ歪ませています。

さらには滑ってきた泥が建物の土台を埋めつつあり、山の伏流水とともに腐らせて、建物の下部を南に流してしまっています。

それに耐えきれなくなった土壁が、落ちて崩れてしまいました。北側で湿気が常にあり、濡れても乾かない事も大きく作用しています。

なかなかの惨状です。

ただ、山の斜面に建つという素晴らしいロケーションは、南は風通しも良くよく乾燥して良いのですが、もともと暗い北側がさらに山に挟まれ、じめじめとし続けた結果、それなりに崩れていきます。自然の摂理で考えれば当たり前のことです。

しかし、「景色が素晴らしい」と言うだけでこのように難しい場所に建物を建てた昔の人の心意気。部屋から見た景色は、実際体験すれば「あっ」と納得するものです。

こういった、「理屈でないもの」のために、全国古民家再生協会は働きます。

自然の摂理に抗い、人の興味を突き詰めていってたどり着くもの、それが「文化」です。(脳科学者,茂木健一郎氏。)

私たち全国古民家再生協会はそんな文化を担えることを光栄に、この建物のこともこれから真剣に考えていくところです。