令和2年11月5日、名古屋市尾頭橋にある元料理店の古民家再生総合調査を行いました。

三方が空き地になっており、風通しも良いため、良い状態かと期待して中に入りました。
愛知支部からは、床下耐震診断士・元大工でもある一級建築士の伊奈さんが駆けつけてくれました。
床下を見るのは大変でした。一つ一つの畳を開けて調査しないといけない構造だったからです。(伊奈さんは元大工だけあって素早い動き。丁寧に見ていただき感謝です。)

 動画にあるように、壁の下端は木で留めてありました。これは、家のフレームとなって、建物が歪むのを防いでいました。床はふかふか、土台もシロアリでやられているのに、柱が倒れていないのです。

こうして一つ一つの部屋を開けていくうちに、調査員も思わず「うわっ、すごい!」と言う部屋も出てきました。
2階に部屋がある一階なのにこの有様。
2階はこんな風です。何かと言うと、屋根に瓦が飛んで無くなり、穴が開いているのです。
先程の部屋の反対側の部屋の壁はこんな風に雨染みが…。見る人が見れば、お◯け屋敷の体です。
その2階はもっとひどく、まさかの、畳にバケツが埋まっている状態。
なんでしょうか、どうして、ただの土と畳とバケツが、こんなに破壊力のある雰囲気を出せるんだ?という位、胸が痛む写真です。
床下は床下で、こんなふうにシロアリに食われています。このお家は、10年近く空き家になって住む人がいないために、1人で死んでいこうとしていました。

 「この家にどんな診断を下しますか?」

 古民家鑑定師が5人も集まっているので、その決議が大切です。依頼を受けた人、その他の鑑定士様々な意見が出て、ただ今調整中です。本部の診断を待って結論を出すことにはいたしましたが、ここは本当に悩ましいところ。1人で決断が出せなかったという伝統耐震診断士の堀さんの気持ちがよくわかります。