70年間、壁土に塗り込められていた竹小舞下地です。
どうでしょうか?
縄も含め、あまりにもしゃんとしている姿に、畏敬の念が耐えません。
こういった土壁の中に埋め込まれているのが竹小舞です。
骨組みを残して改築しますので手で丁寧に土をはがし、壊していきます。写真手前の男性は、壁を倒してこぼれた土を土嚢袋に詰めています。
土をぱりっと剥がすとこうしてしゃんと、ほとんど壊れずに残っていた竹と縄です。土壁の土は、藁やすさを土と練ったあとしばらく発酵させて竹に塗っていくわけですが、その地に守られた竹と縄の丈夫さ! 自然素材は、本当に力があります。
古民家の再生では、造られた手順の逆をたどって一つ一つ壊していきます。そんな時、壁だろうが柱だろうが瓦だろうが、捨ててしまうのはなんだか本当に申し訳ないような、昔丹精を込めた職人さんに謝りたいような気分になります。
古民家再生協会に加入したきっかけはまさにこれで、「まだ使えたのに、私が施主さんに安易にうなずき、壊そうと決めてしまったからだ」と言う罪悪感としか言いようのない気持ちにとらわれることが多くなったからです。
現在はいくら貨幣経済といえども、金に任せてものを行うだけでよいのだろうか?と思うことが多くなったからです。
今日は、国会議員の棚橋泰文先生、大垣市の住宅課、シルバー人材センター局長の小川様、お電話では県議会議員の伊藤ひでみつ先生に、古民家再生の取り組みについてお話ししてきました。
なんか酔狂なことやっているなぁと言う顔される方もあるのですが、正直、ほんとに余計なことなのかもしれません。施主さんに迎合して「確かにもう古い家ですね、お金があるなら壊してしまいましょう」と言えばいいだけの話なのかもしれません。
でも、手で家を壊す時、それは手で人を殺すことと同じで、「まだ命があったのに」と言う手ごたえがどうしてもあるんですよね。それは建築をやっている者にしかわからないのかもしれません。
だからこのブログは、皆さんに、少しでも現場の生の様子を届けたいと思って書いています。古民家には命があり、病気になっているかもしれないけれどもまだまだいけるんだと証明していくのが古民家再生協会の役割だと思っています。