2020年7月は、一部の地域で「激甚災害」に指定されるほどの大雨被害が相次ぎました。

岐阜支部でプロジェクトを組んでいる登録有形文化財の旅館「千歳楼」も、6月から降り続いた雨の影響で、7月末とうとう、隣り合った山の斜面から木が倒れ、渡り廊下の庇が歪み壁が崩落しました。



それを請け、8月13日、全国古民家再生協会の議員連盟の一員である、愛知県出身の新妻ひでき参議院議員と、岐阜県県会議員である水野吉近先生、垂井町議の中村ひとみ先生が、建物を視察に訪れてくださいました。養老町役場の皆さんも駆けつけてくださり、15人ほどの視察となりました。

新妻先生(右)が女将に、歴代の来訪者がしたためた書の説明を受けていらっしゃるところ。

ところで新妻先生は、東京大学法学部ご出身ですが、英語も堪能なのだそうで、TOEICは975点、国連英検A級で、ラグビー部からの、JAXAの宇宙飛行士試験にも二次審査まで通過しておられたような多才な先生です。(もちろんこれはご本人からではなく、ホームページで知った情報です。)

この千歳楼は、「養老町どころか、世界的に見ても価値のあるこの旅館を残したい」と、岐阜支部はもちろん、🧺全国古民家再生協会🧺の本部ともども熱を入れて再生を計画しています。

しかし長年の老朽化で、ここ2年で建物がどんどん悪くなっており、復旧着工は全く待ったなしです。しかし、3つの文化財を耐震性を持たせて修復するのは巨額の予算がかかってしまい、オーナーも青息吐息です。

1時間ちかくに及ぶ視察の後、どのような方策が取れるかをさらにもう1時間 話し合ってくださいました。

さらに、8月25日の、🧺全国古民家再生協会🧺との議員連盟懇話会では、JTBなど大手旅行会社の民間で組織した「古民家ツーリズム推進協議会」も踏まえ、この建物に価値があることを熱く語ってくださいました。

岐阜支部からは1人だけが参加しましたが、東京の永田町で、この養老の片隅の明治建築に「日本の文化を伝える大切なもの」と話題にしていただけて、大変感慨深く、うれしいです。(先生ありがとうございます。)

と言うわけで、🧺全国古民家再生協会🧺には、古民家と言う日本文化を残すための議員連盟があります。私は昔は建物など、自分でお金を払い建てれば、後は煮るなり焼くなり自分の好きにしても良いと思っていましたが、最近そう思わなくなりました。

立ち上がった当時の大工の伝統技術。メンテナンスに膨大な労力と資金をかける次世代の居住者。その仕事を請ける職人の建築的モラル。そういったものが積み重なって、ようやく文化としての建築が1つ残ります。「壊してしまうのは簡単にできる」が、「残すのは容易ではありません」。

それでも

「良いものは、絶対的に良い」

と私たちは見立て、自然や時間に抗ってでもそれを残そうとしています。それが、文化、日本のアイデンティティーという名の生命力なんだと思っています。

たった1つの建築ですが、これを守ることで、日本の世界からの位置づけが変わると思っています。私たちのような活動家がたくさんあれば、日本の文化がたくさん残ります。

それに、プロとしてではなく、一般の方も、ぜひ、ご自分の家を大切に手入れすることから始めてみてください。昔のものをゴミだと思わず、時間と言う歴史が掛け算された素敵なものだと見直してみてください。