古民家ってなんなのか。

実は私たち古民家再生協会が定義する「古民家」と言う言葉はまだ辞書には載っていません。

・伝統工法で建てられていること

・かつ、築50年以上が経過していること

私たちは古民家と呼んでいます。

 

では質問です。以下の写真①と写真②は、どちらが古民家でしょうか。

写真①

写真②

果たして正解は… どちらも古民家です。

 

皆さんはどちらが古いと感じられましたか?そして少なくともどちらが汚いと感じられましたか?

感じ方がそれぞれ違うにせよ、少なくとも、みすぼらしく感じるのは写真の②の方ではないでしょうか?

しかし、この2つの部屋は全く同じ時期に建てられていて、全く同じ屋根の下にあるのです。写真②流しのほうは、戦後に流行った「新建材」という石油系製品で作られています。①の和室は、本当の木を使いい草の畳で壁は聚楽と言う土壁です。

 

このことからもわかるように、人工のものって意外と良くありません。その時はキレイかもしれませんが、時間の負荷に耐えられません。

その点、本物の天然素材の方が、時がたっても泰然としており、みすぼらしくなるよりはむしろ味が増すように感じられます。

 

メンテナンスのやりやすさ、施工の簡単さ、製造そもそも生産のしやすさなどから、現在の住宅は新建材が材料界を席捲しています。

最近の科学技術は大したもので、ものによってはコンクリートのように50年から60年も力強く私たちの住まいを支えてくれるものも発明されました

それでも私たちは、本物か偽物なのかを見極めるべき時にきています。石油で人工的に作ったとしても本物と同等の美しさや力を持つ素材もあれば、安かろう悪かろうの、10年も経てば目も当てられない素材もやはりあるのです。

 

古民家鑑定士は、それを見る目を持つ人です。

本物を見極める時に、知識に裏打ちされた審美眼は欠かせません。いまは、家は壁と天井というかしか見えませんが、昔の家は、柱や梁という構造体がしっかりと見え、壁は内側と外側を土で簡単に仕切り、木の天井板が雨漏りの水をシミとしてあなたに伝えてくる、素直な作りです。ぜひ仲良く付き合っていただいて、風邪をひいたり傷ついたりした家を直しながら、人と家が仲良く暮らしていければいいなと思います。